虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)の診断・治療
虚血性心疾患とは?
心臓が動くために必要な栄養を供給している血管を『冠動脈』といい、大きく分けると右冠動脈ならびに左冠動脈(前下行枝、回旋枝)の3本あります。 高血圧や糖尿病、脂質異常症、喫煙、肥満などにより冠動脈の動脈硬化が進行して内腔が狭くなったり詰まったりすると、心臓への血液供給が滞って酸素・栄養が不足してしまいます。この状況を『虚血』と呼び、虚血に関連して発症する心臓の病気を『虚血性心疾患』と呼びます。大きく分けて以下のような疾患があります。
- 狭心症
- 労作性狭心症/安定狭心症
- 冠攣縮性狭心症
冠動脈が狭くなって心臓に十分な血液が供給されなくなる病気が『狭心症』です。 - 急性冠症候群
- 不安定狭心症
- 急性心筋梗塞
冠動脈が完全に詰まって心臓に血液が供給されなくなることで心臓の筋肉が壊死してしまう病気が『心筋梗塞』です。非常に重篤で一刻を争います。
虚血性心疾患の症状
狭心症の場合
- 5分から10分持続する労作時の胸痛または夜間安静時の胸痛
- 心窩部痛
- 胸部違和感
- 胸部圧迫感
- のどの痛み
- 左肩や左腕の痛み
- 奥歯の痛み
心筋梗塞の場合
- 持続する胸痛
- 心窩部痛
- 胸部違和感
- 胸部圧迫感
虚血性心疾患の検査法・血液検査
狭心症のリスクとなる脂質異常症、糖尿病の有無などを調べます。
心電図検査
狭心症の場合は症状がなければ変化が見られないこともあります。
心臓超音波検査
心臓の機能や局所的な壁運動異常がないかどうか調べます。
運動負荷心電図検査
運動によって心臓に負荷をかけた上で心電図検査を行い、安静時の心電図と比較します。
心臓核医学検査
微量の放射性物質を注射して、運動前後での心臓への取り込みを比較します。狭心症の場合には、病変がある領域での取り込みが運動後に低下します。
冠動脈CT
造影剤を注射してCTにて冠動脈を造影します。
心臓カテーテル検査
カテーテルという細い管を血管から心臓近くまで通し、造影剤を冠動脈に直接的に注入して狭窄があるかどうか調べます。
冠動脈CTや心臓カテーテル検査が必要であれば、提携医療機関またはご希望の医療機関へご紹介いたします。
虚血性心疾患の治療方法
薬物療法
血液をサラサラにする抗血栓薬を初め、患者様個々のリスク(糖尿病、高血圧、脂質異常症の有無)に応じて複数の治療薬が必要になることが多いです。
カテーテル治療
冠動脈の狭くなった部分をバルーン(風船)で広げたりステント(金属でできたメッシュ状の筒)を留置して広げる治療です。局所麻酔で行うことができる比較的低侵襲な治療で、入院期間は数日で済むことが多いです。
冠動脈バイパス手術
自身の血管を材料(グラフト)として冠動脈の狭くなった部分の先につなげて血流を良くする手術です。カテーテル治療が困難な場合や手術の方がメリットが大きい場合に行われます
狭心症や心筋梗塞の不安のある方は是非ご相談ください。また、すでのカテーテル治療やバイパス治療を行った方も、継続的な診療が必要となりますのでいつでもご相談ください。