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「トイレが近い」は年齢のせい?頻尿の原因と治療について

[2026.08.10]

 

「最近、トイレに行く回数が増えた」
「夜中に何度も目が覚める」
「急に尿意がきて、我慢するのが難しい」

このような症状を「頻尿」といいます。

頻尿は年齢とともに増えやすい症状ですが、単なる加齢現象とは限りません。膀胱や前立腺の病気だけでなく、糖尿病、心不全、睡眠時無呼吸症候群などが隠れていることもあります。

何回以上なら頻尿?

一般的には、朝起きてから寝るまでに8回以上排尿する場合を「昼間頻尿」と呼びます。

ただし、排尿回数には個人差があります。8回以下でも「仕事中に何度もトイレへ行く」「外出が不安になる」など、本人が多いと感じて生活に支障があれば、治療を検討する対象になります。日本泌尿器科学会

また、夜中に排尿のために目が覚める状態を「夜間頻尿」といいます。夜間頻尿は睡眠の質を低下させ、日中の眠気や集中力低下につながるほか、高齢者では暗い場所での転倒にも注意が必要です。

頻尿の主な原因

頻尿の原因は一つではありません。症状の出方によって、ある程度原因を推測できます。

症状の特徴 考えられる主な原因
急に強い尿意が起こり、我慢しにくい 過活動膀胱
尿の勢いが弱い、出るまで時間がかかる 前立腺肥大症、排尿障害
排尿後も残っている感じがする 残尿、神経因性膀胱
排尿時の痛み、濁り、発熱がある 膀胱炎、前立腺炎、腎盂腎炎
1回の尿量も多く、強い喉の渇きがある 糖尿病、多飲、多尿
夜間だけ尿量が多い 夜間多尿、心不全、むくみ、睡眠時無呼吸
いびきや無呼吸、日中の眠気を伴う 睡眠時無呼吸症候群
血尿がある 尿路結石、膀胱腫瘍など

利尿薬や一部の糖尿病治療薬によって尿量が増える場合もあります。ただし、頻尿が気になるからといって薬を自己判断で中止してはいけません。処方した医師へ相談しましょう。

「夜中のトイレ」と睡眠時無呼吸症候群

夜間頻尿というと、前立腺や膀胱の問題を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、実は睡眠時無呼吸症候群も重要な原因の一つです。

睡眠中に呼吸が止まると、胸の中の圧力やホルモンの働きが変化し、夜間に尿が作られやすくなります。また、無呼吸による中途覚醒を「尿意で目が覚めた」と感じていることもあります。

日本循環器学会のガイドラインでも、夜間頻尿はいびき、日中の眠気、熟睡感の欠如などとともに、睡眠時無呼吸症候群でみられる症状として挙げられています。日本循環器学会「循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療ガイドライン」

夜間頻尿に加えて、

  • 大きないびきをかく
  • 家族から呼吸が止まっていると言われる
  • 朝起きても疲れが残っている
  • 日中に強い眠気がある
  • 高血圧がなかなか下がらない

といった症状がある場合は、睡眠時無呼吸の検査も検討しましょう。

診断には「排尿日誌」が役立ちます

頻尿の診療では、回数だけでなく「1回にどれくらい尿が出ているか」が重要です。

受診前に数日間、次の内容を記録しておくと診断に役立ちます。

  • トイレへ行った時刻
  • 1回の尿量
  • 水分を飲んだ時刻と量
  • 急な尿意や尿漏れの有無
  • 就寝時刻と起床時刻
  • 夜中に目が覚めた回数

排尿日誌は、膀胱に尿をためられないのか、1日全体の尿量が多いのか、夜間だけ尿量が増えているのかを区別するために非常に重要です。日本排尿機能学会「夜間頻尿診療ガイドライン」

診察では、必要に応じて尿検査、血液検査、血糖値、腎機能、超音波による残尿測定、前立腺の評価、心機能検査、睡眠検査などを行います。

頻尿の治療

頻尿の治療は、原因に合わせて行います。「頻尿だから膀胱の薬」というわけではありません。

1.生活習慣の見直し

まずは、次のような生活上の工夫を行います。

  • 夕方以降の過剰な水分摂取を避ける
  • 夜のアルコールやカフェインを控える
  • 塩分を取りすぎない
  • 便秘を改善する
  • 適正体重を目指す
  • 膀胱訓練や骨盤底筋体操を行う

ただし、水分を極端に減らすと脱水症や腎機能悪化の原因になります。心臓病や腎臓病がある方は、適切な飲水量を主治医に確認してください。

足のむくみがある方では、日中の運動や夕方の下肢挙上が有効なことがあります。弾性ストッキングについては、心不全や血管の病気によって適否が異なるため、使用前に医師へ相談しましょう。夜間頻尿診療ガイドライン・2024年アップデート

2.過活動膀胱の治療

急な尿意や尿漏れを伴う場合は、過活動膀胱の可能性があります。

膀胱訓練や骨盤底筋体操に加えて、抗コリン薬やβ3受容体作動薬などを使用することがあります。口の渇き、便秘、残尿、血圧や脈拍への影響など、薬ごとに注意点があるため、年齢や持病に合わせた選択が必要です。日本排尿機能学会「過活動膀胱診療ガイドライン」

3.前立腺肥大症の治療

男性で、尿の勢いが弱い、尿が出にくい、残尿感がある場合は、前立腺肥大症が疑われます。

症状や前立腺の大きさに応じて、尿道を広げる薬、前立腺を小さくする薬などを使用します。残尿が多い場合や尿が出なくなる場合には、手術が必要になることもあります。

4.膀胱炎などの治療

排尿時の痛み、尿の濁り、発熱などがある場合は、尿検査を行います。細菌感染が確認されれば抗菌薬を使用します。

頻尿だけを理由に抗菌薬を使用するのではなく、感染の有無を確認することが大切です。

5.心不全・糖尿病・睡眠時無呼吸の治療

心不全によるむくみ、糖尿病による多尿、睡眠時無呼吸による夜間頻尿では、もとの病気を治療することが重要です。

睡眠時無呼吸症候群では、CPAPなどの治療によって夜間頻尿が改善することがあります。心不全の場合は、利尿薬を服用する時間の調整が有効なこともありますが、必ず主治医の指示のもとで行います。

6.夜間多尿に対する治療薬

成人男性の夜間多尿による夜間頻尿には、デスモプレシンという薬が選択されることがあります。

ただし、この薬は低ナトリウム血症や水中毒を起こす可能性があります。心不全、一定以上の腎機能障害、利尿薬を使用している方などには投与できないため、治療前後の血液検査と慎重な管理が必要です。PMDA・デスモプレシン添付文書

早めに受診してほしい症状

次のような症状がある場合は、放置せず医療機関を受診してください。

  • 尿がまったく出ない
  • 血尿や血の塊が出る
  • 発熱と背中・脇腹の痛みがある
  • 強い喉の渇きや急な体重減少がある
  • 足のむくみ、息切れ、急な体重増加がある
  • 頻尿が突然始まった、または急激に悪化した
  • 夜間頻尿で眠れず、日常生活に支障が出ている

まとめ

頻尿は「年齢のせい」と思われがちですが、原因は膀胱や前立腺だけではありません。

特に夜間頻尿には、心不全、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、睡眠障害などが関係していることがあります。原因を確認せずに水分を極端に制限したり、市販薬だけで対応したりするのはおすすめできません。

当院では、尿検査や血液検査に加え、循環器疾患や睡眠時無呼吸症候群の可能性も含めて評価しています。必要に応じて泌尿器科などの専門医療機関と連携しますので、「トイレが近くて困っている」「夜中に何度も目が覚める」という方は、お気軽にご相談ください。

※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり

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