健診で「non-HDLコレステロールが高い」と言われたら?
健康診断の結果を見ていると、「LDLコレステロール」や「HDLコレステロール」のほかに、non-HDLコレステロールという項目が記載されていることがあります。
「LDLは悪玉、HDLは善玉と聞いたことがあるけれど、non-HDLとは何だろう?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
non-HDLコレステロールは、ひと言でいえば、動脈硬化に関係する“悪玉系コレステロールの合計”を表す指標です。
今回は、LDLコレステロールとの違いや数値の見方、改善方法について分かりやすく解説します。
non-HDLコレステロールとは?
non-HDLコレステロールは、次の式で簡単に求められます。
non-HDLコレステロール=総コレステロール-HDLコレステロール
例えば、総コレステロールが220mg/dL、HDLコレステロールが50mg/dLの場合、non-HDLコレステロールは170mg/dLです。
HDLコレステロールには、血管の壁にたまった余分なコレステロールを回収する働きがあり、一般に「善玉コレステロール」と呼ばれています。
総コレステロールからHDLを引くと、LDLだけでなく、VLDL、IDL、レムナント、Lp(a)など、動脈硬化に関係するさまざまなコレステロールをまとめて評価できます。
LDLコレステロールが「代表的な悪玉」を見る検査だとすれば、non-HDLコレステロールは、悪玉グループ全体を見る検査と考えると分かりやすいでしょう。
どのくらいから高いの?
日本動脈硬化学会の基準では、健診などで脂質異常症を見つけるための目安は、次のようになっています。
| non-HDLコレステロール | 判定 |
|---|---|
| 150mg/dL未満 | 高値の判定には該当しない |
| 150~169mg/dL | 境界域高non-HDLコレステロール血症 |
| 170mg/dL以上 | 高non-HDLコレステロール血症 |
ただし、170mg/dL以上なら全員がすぐに薬を飲む、という意味ではありません。
実際の治療目標は、年齢、血圧、糖尿病、慢性腎臓病、喫煙歴、心筋梗塞や脳梗塞の既往などを総合して決めます。
健診で使用される「判定基準」と、一人ひとりの心血管リスクに応じて設定される「治療目標」は、分けて考える必要があります。
non-HDLコレステロールの治療目標
non-HDLコレステロールの管理目標は、原則としてその方のLDLコレステロール目標値に30mg/dLを加えた値です。
| 心血管リスク | non-HDLコレステロールの目標 |
|---|---|
| 一次予防・低リスク | 190mg/dL未満 |
| 一次予防・中リスク | 170mg/dL未満 |
| 一次予防・高リスク | 150mg/dL未満 |
| 糖尿病に末梢動脈疾患・細小血管症・喫煙などを伴う場合 | 130mg/dL未満 |
| 心筋梗塞・狭心症などの二次予防 | 130mg/dL未満 |
| 急性冠症候群・家族性高コレステロール血症など、特に高リスクの二次予防 | 100mg/dL未満 |
これらは一律の「正常値」ではなく、将来の心筋梗塞や脳梗塞の危険度に応じた到達努力目標です。
心筋梗塞、狭心症、アテローム血栓性脳梗塞などを経験した方では、再発を防ぐため、より厳格な脂質管理が必要になります。
LDLコレステロールが正常でも安心できない?
LDLコレステロールが目標範囲に入っていても、non-HDLコレステロールが高いことがあります。特に多いのが、中性脂肪が高い方です。
中性脂肪が高くなると、VLDLやレムナントと呼ばれる動脈硬化を促す粒子が増えることがあります。
そのため、糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームのある方や、飲酒量が多い方では、LDLだけでなくnon-HDLも確認することが大切です。
また、食後の採血や中性脂肪が400mg/dL以上の場合には、一般的な計算式で求めたLDLコレステロールが正確でないことがあります。このような場合にも、non-HDLコレステロールが参考になります。
ただし、中性脂肪が600mg/dL以上の著明高値では、non-HDLコレステロールの評価にも注意が必要です。
数値を下げるためにできること
まずは、食事、運動、体重、飲酒などの生活習慣を見直します。
- 脂身の多い肉、加工肉、バター、生クリームなどを取りすぎない
- 魚、大豆製品、野菜、海藻、きのこ類を意識して取る
- 中性脂肪が高い場合は、甘い飲み物、お菓子、炭水化物の取りすぎを控える
- 飲酒量を減らし、休肝日を設ける
- ウォーキングなどの有酸素運動を継続する
- 適正体重を目指す
- 喫煙している場合は禁煙する
生活習慣を改善しても高値が続く場合や、もともとの心血管リスクが高い場合には、スタチンなどの脂質を下げる薬が必要になることがあります。
また、甲状腺機能低下症、糖尿病、腎臓病などが隠れていないか確認することも重要です。
まとめ
non-HDLコレステロールは、LDLを含めた「動脈硬化に関係するコレステロールの総量」を見る指標です。
特に、中性脂肪が高い方や糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームのある方では、LDLだけでは見えにくいリスクを把握する手がかりになります。
大切なのは、検査結果の数字を一つだけ見て判断しないことです。血圧、血糖、腎機能、喫煙歴、心臓病や脳血管疾患の既往などを含めて総合的に評価する必要があります。
健診でnon-HDLコレステロールの高値を指摘された方や、「LDLは正常なのにnon-HDLが高い」と言われた方は、一度、医療機関でご相談ください。
