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寝室の適温は?

[2025.04.30]

寝室の適温に関しては、快適さ、健康、睡眠の質といった観点から多くの学術的・医学的な研究が行われています。以下に、代表的な学説やガイドラインを比較しつつ、総合的な見解を論じます。


1. 世界保健機関(WHO)のガイドライン

WHOは住宅の健康的な室温に関するガイドラインを示しており、特に以下の点を強調しています。

  • 最低気温:18℃以上
    高齢者や乳幼児がいる場合は、20℃以上が推奨されます。

  • 健康リスク(循環器疾患、呼吸器疾患)を避けるには、これ以下の温度は危険とされています。

寝室に関して:

  • WHOのガイドラインは昼間の居住空間の温度に重きが置かれており、寝室の温度についてはやや柔軟ですが、夜間でも18℃未満は避けるべきと示唆されています。


2. アメリカ睡眠医学会(AASM)およびSleep Foundation

  • 推奨温度:15.5〜19.5℃(約60〜67°F)

この範囲は睡眠の質を高めるとされており、特に深いノンレム睡眠(徐波睡眠)を促進することが報告されています。
体温が夜間に自然に下がる過程を助ける温度帯と一致しており、入眠を促進する効果があります。


3. 日本の気候と学説

  • 日本睡眠学会では、**室温は16〜20℃、湿度は40〜60%**が推奨されています。
    ただし、夏と冬で適温の感覚に差があるため、断熱性能や寝具、個人の感じ方に応じて調整すべきとされます。

  • また、寒冷地では暖房がないと15℃未満になることもあるため、地域差を考慮する必要があるという見解もあります。


4. 個人差・年齢・健康状態の考慮

  • 高齢者や乳幼児は低体温のリスクが高いため、18〜22℃が望ましいとされます。

  • 一方、若年・健康な成人では16〜19℃が快適と感じる人が多い傾向にあります。


5. 睡眠における体温と温度環境の関係(生理学的観点)

  • 睡眠時には体の深部体温が下がることが自然なプロセスです。

  • 寝室が暑すぎるとこの体温の低下が妨げられ、入眠困難や中途覚醒が増加する可能性があります。

  • 逆に寒すぎると交感神経が刺激され、睡眠の質が悪化する


総合的見解:寝室の最適温度は?

人の属性 推奨される寝室温度
健康な成人 16〜19℃
高齢者・乳幼児 18〜22℃
一般家庭(冬場) 18〜20℃
一般家庭(夏場) 25〜27℃(冷房時)

ただし、温度だけでなく湿度(40〜60%)や通気性、寝具の断熱性能も重要な要素です。


結論

寝室の適温は「個人の年齢・健康状態・住環境」によって左右されるため、一概に「この温度がベスト」と断言はできません。しかし、**15.5〜19.5℃**という範囲が多くの研究で支持されており、これを中心に考えながら、住環境や寝具で調整することが理想です。

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