睡眠時無呼吸症候群(SAS)と高尿酸血症
[2025.11.02]
睡眠時無呼吸症候群(SAS)と高尿酸血症(痛風を含む)は、実は密接に関連しています。以下に医学的なポイントを整理します👇
🧠 【関係の概要】
睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に「無呼吸」や「低呼吸」が繰り返され、
そのたびに**血中の酸素が低下(低酸素血症)**し、再酸素化が起こります。
この「低酸素→再酸素化」の繰り返しが、体内で酸化ストレスやプリン体代謝の亢進を引き起こし、
結果として **尿酸値上昇(高尿酸血症)**につながると考えられています。
⚙️ 【機序(メカニズム)】
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低酸素によるATP分解促進
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無呼吸による酸素欠乏で、細胞内ATPが分解されプリン体が増加。
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プリン体が代謝される際に尿酸が生成される。
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酸化ストレスによるキサンチンオキシダーゼ活性化
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酸化ストレスが酵素活性を高め、尿酸生成を増やす。
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インスリン抵抗性の関与
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SASはインスリン抵抗性を悪化させる。
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インスリン抵抗性により腎での尿酸排泄が低下 → 血中尿酸が上昇。
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交感神経亢進
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SASでは夜間に交感神経が過剰に働く。
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これも尿酸排泄低下や血圧上昇を招く。
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📊 【疫学的データ】
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SAS患者では、高尿酸血症の合併率が2〜3倍高いとされます。
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重症の無呼吸(AHI高値)ほど、尿酸値が高い傾向。
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CPAP治療により尿酸値が低下する報告も複数あります。
💊 【治療への示唆】
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SASの治療(特にCPAP)を行うことで、夜間の低酸素改善 → 尿酸値低下が期待されます。
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一方で、明らかな高尿酸血症・痛風既往がある場合は、
**尿酸降下薬(フェブキソスタット・アロプリノールなど)**の併用も検討されます。 -
生活習慣(肥満・アルコール・食事)への介入も共通して重要です。
🩺 【まとめ】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 共通の基盤 | 肥満・代謝異常・インスリン抵抗性 |
| SAS → 高尿酸の機序 | 低酸素・酸化ストレス・尿酸排泄低下 |
| 治療効果 | CPAP治療で尿酸値が改善する可能性 |
| 対応方針 | SAS治療+生活習慣改善+必要時薬物療法 |
