緑内障の目薬で脈が遅くなる?意外と知られていない「目薬と心臓」の関係
緑内障の治療では、眼圧を下げるために「点眼薬(目薬)」がよく使われます。
「目薬だから、目にだけ効く薬でしょう?」
そう思われる方も多いかもしれません。
しかし実は、目薬の成分の一部は体の中にも吸収されます。
そのため、緑内障の点眼薬の種類によっては、脈が遅くなったり、血圧が下がったりするなど、心臓に影響することがあります。
特に心臓病のある方や脈がもともと遅い方は、少し注意が必要です。
特に注意したい「β遮断薬」の目薬
緑内障の点眼薬の中で、心臓への影響に注意したいのが**「β遮断薬(ベータ遮断薬)」**と呼ばれるタイプです。
代表的な成分には、
・チモロール
・カルテオロール
・ベタキソロール
などがあります。
これらは眼圧を下げる効果がある一方で、心臓の働きにも影響し、心拍数を低下させることがあります。
「たかが目薬」と思われがちですが、点眼した薬の一部は鼻や喉の粘膜などを通じて血液中に入り、全身に作用することがあります。
どんな症状が起こることがある?
β遮断薬の点眼によって心拍数が低下すると、
・脈が遅くなる
・めまいがする
・立ちくらみがする
・体がだるい
・息切れがする
・ふらつく
・失神する
といった症状が現れることがあります。
さらに、もともと心臓に病気がある方では、不整脈や心不全が悪化する可能性もあります。
特に「房室ブロック」や「洞不全症候群」と呼ばれる、心臓の電気信号に問題がある方では注意が必要です。
実際、チモロールを含む点眼薬は、重い心不全や高度の徐脈、重い房室ブロックなどがある場合には使用できないことがあります。
「脈が50台」の人は要注意
普段から脈拍が遅い方は特に注意してください。
たとえば、
「血圧は正常だけれど、脈が50回/分くらいしかない」
という方です。
スポーツをしている健康な方では脈が50台でも問題ないことがありますが、薬の影響で脈が遅くなっている場合もあります。
緑内障の治療を始めてから、
「以前より脈が遅くなった」
「最近ふらつくようになった」
「疲れやすくなった」
「階段で息切れする」
という場合には、一度点眼薬の成分を確認してみることをおすすめします。
心臓の薬を飲んでいる人はさらに注意
もう一つ重要なのが、心臓の薬との組み合わせです。
高血圧、不整脈、狭心症、心不全などの治療では、心拍数を低下させる薬が使われることがあります。
そこにβ遮断薬の点眼薬が加わることで、心拍数が必要以上に低下する可能性があります。
特に、
・β遮断薬の飲み薬
・ベラパミル
・ジルチアゼム
などを使用している方は注意が必要です。
眼科では目の病気を中心に診察しますので、心臓の薬を飲んでいる場合には、眼科の先生にも必ず伝えておきましょう。
心臓病がある人は、どんな目薬がいい?
緑内障の治療薬にはβ遮断薬以外にもさまざまな種類があります。
その中で「プロスタグランジン関連薬」と呼ばれる点眼薬は、一般的にβ遮断薬ほど心拍数への影響を問題にすることはありません。
代表的なものには、
・ラタノプロスト
・タフルプロスト
・トラボプロスト
・ビマトプロスト
などがあります。
もちろん、どの薬が適しているかは緑内障の種類や眼圧、目の状態によって異なります。
そのため、「心臓病があるから自分で目薬を中止する」ということはしないでください。
眼科医と相談しながら、自分の体の状態に合った薬を選ぶことが大切です。
配合剤にも注意しましょう
最近では、複数の成分を1本にまとめた「配合点眼薬」もよく使われています。
そのため、商品名を見ただけではβ遮断薬が入っていることに気づかない場合があります。
「私はチモロールという目薬は使っていないから大丈夫」
と思っていても、使用している配合剤の中にチモロールが含まれていることがあります。
循環器内科を受診するときには、使用している目薬の名前がわかるように、お薬手帳を持参するか、点眼薬そのものを持っていくと安心です。
目薬をさした後のひと工夫
点眼薬が全身に吸収される量を少なくするために、目薬をさした後はしばらく目を閉じ、目頭のあたりを軽く押さえる方法があります。
目から鼻へ薬が流れる通り道を一時的に押さえることで、薬が鼻や喉へ流れて全身に吸収される量を減らすことが期待できます。
特に心臓への影響が心配な方は、眼科で正しい点眼方法について確認してみるとよいでしょう。
まとめ ~「目薬だから心臓には関係ない」とは限りません~
緑内障は視野を守るために、長期間にわたって治療を続けることが大切な病気です。
一方で、緑内障の点眼薬の中には、心拍数を低下させる作用を持つものがあります。
特に、
「緑内障の目薬を使っている」+「脈が遅い」
という方は、一度使用している点眼薬の成分を確認してみてください。
また、心臓病で治療中の方、脈を遅くする薬を飲んでいる方、最近めまいやふらつき、息切れなどが出てきた方も注意が必要です。
ただし、緑内障の点眼薬は視力・視野を守るための大切な治療です。自己判断で中止するのではなく、眼科医や循環器内科医に相談してください。
目の治療と心臓の治療は、一見するとまったく別のものに見えます。
しかし、使っている「目薬」が心臓の状態に関係していることもあります。
「目薬も立派な薬」――お薬手帳には、飲み薬だけでなく点眼薬も忘れずに記載しておきましょう。
