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睡眠時無呼吸症候群の自分でできる対策とは?食事療法やトレーニングも紹介

[2024.08.20]

睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に呼吸が10秒間以上止まることを繰り返す病気を指します。

眠りの質が浅くなるため、日中にひどい眠気に襲われるほかにも、高血圧症や心臓病のリスクを高めることもわかっています。

睡眠時無呼吸症候群の傾向がある方の中には、どのように対策すればよいか迷っている方もいるでしょう。

そこでこの記事では、睡眠時無呼吸症候群を改善するための具体的な対策や、おすすめのトレーニングを紹介します。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)を生活習慣で改善させるには

睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に10秒以上呼吸が止まることを繰り返す病気です。

日中にひどい眠気を引き起こしたり、脳血管疾患のリスクを上げたりすることがわかっているため、早めの治療が大切です。

ここでは、自分でできる睡眠時無呼吸症候群の改善方法について紹介します。

鼻呼吸への移行

睡眠時無呼吸症候群の対策の1つ目として、鼻呼吸への移行が挙げられます。

アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの方は、鼻呼吸がしにくく口呼吸をメインで行っているケースもありますが、口呼吸をすると鼻呼吸よりも咽頭が狭くなりやすく、気道が塞がりやすいのが特徴です。

そのため、気道が細くなり、いびきをかきやすくなったり睡眠時無呼吸症候群になりやすかったりするリスクがあります。

鼻呼吸へ移行するといびきや睡眠時無呼吸症候群の症状が緩和されるとともに、免疫力向上にも役立ちます。

空気が鼻を通ると雑菌除去効果があるため、免疫力向上のためにも鼻呼吸がおすすめです。

禁煙する

喫煙は気道に炎症を起こさせるリスクがあるため、たばこを吸う習慣がある方は禁煙が推奨されます。

慢性的に上気道が炎症を起こすと空気の通り道が細くなり、睡眠時無呼吸症候群になりやすいとされます。

喫煙者は非喫煙者に比べて睡眠時無呼吸症候群になるリスクが高く、無呼吸や低呼吸の指数であるAHIの値が、およそ2〜4倍高くなるとの報告もあるほどです。

喫煙習慣がある方は、たばこの量を減らすか禁煙を検討しましょう。

過度な飲酒をしない

過度な飲酒も睡眠時無呼吸症候群のリスクを高めます。

アルコールによって喉や首周りの筋肉が弛緩すると、上気道が狭くなるため、無呼吸や低呼吸のリスクが高まります。

特に、寝る前にお酒を飲む習慣がある方は危険です。

就寝時には元々筋肉が縮みやすいとされますが、お酒を飲むことによってさらに筋肉が弛緩しやすくなり、無呼吸のリスクが高まります。

お酒を飲む方でいびきが気になる方は、就寝前のお酒を控えることで症状が緩和する可能性もあります。

寝る姿勢を変えてみる

就寝時の寝る姿勢を変えることも、睡眠時無呼吸症候群の対策になります。

仰向けで寝ていると、舌が喉の方に落ちてしまい、上気道が塞がりやすくなります。

横向きやうつぶせの姿勢で寝ると、舌が喉に落ち込むのを防げるため、呼吸がしやすくなるでしょう。

就寝時に寝苦しさを感じたり、寝ても疲れが取れなかったりする方は、横向きに寝るのがおすすめです。

横向きに寝ると喉周りの脂肪が気道を邪魔しにくく、舌が喉の方に落ち込まないので、空気の通り道を確保しやすくなります。

横向きの姿勢をキープするのが難しい方は、抱き枕を抱えて寝るなどの工夫をするとよいでしょう。

うつ伏せ姿勢も、寝姿勢としておすすめです。

うつ伏せで寝ると胸が圧迫されることで横隔膜が下がり、下腹が膨らみやすくなるため、腹式呼吸がしやすくなります。

うつ伏せの注意点は、顔や身体が圧迫される点です。

顔の骨に負担がかかり、フェイスラインや歯並びに影響が出る可能性があります。

また、首にも負担がかかりやすく、寝違えることもあります。

うつ伏せ用の枕を使ったり、寝やすいマットレスに変えたりなど、身体にできるだけ負担がかからない方法を試してみましょう。

肥満の予防

睡眠時無呼吸症候群の原因の1つは肥満とされますが、その原因は脂肪が増えることによって喉や首周辺の脂肪も増え、気道を圧迫することです。

気道が狭くなると呼吸がしにくくなり、睡眠時無呼吸症候群に繋がりやすくなります。

栄養バランスの取れた食事を摂り、適度な運動をするなど、健康的な生活を送ることが大切です。

これまで体型が気にならなかった方でも、30代を過ぎると脂肪が付きやすくなるうえに、喉や首周りの筋力も衰えやすくなります。

体重が増え過ぎると生活習慣病のリスクも高まるため、肥満の傾向が見られる方は、生活習慣を改めることから始めてみましょう。

今肥満の傾向がない方でも、適正体重を維持することが睡眠時無呼吸症候群対策になります。

健康的な生活を維持するように心がけてみてください。

睡眠薬の服用には注意が必要

寝ても寝た気がしないと感じている方の中には、睡眠薬を服用している方もいるかもしれませんが、睡眠薬の中には、睡眠時無呼吸症候群を悪化させてしまうものもあります。

睡眠時無呼吸症候群の方が気をつけたい薬は「ベンゾジアゼピン系睡眠薬」です。

ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、筋肉の緊張を緩め、力が入りづらくなる副作用があることがわかっています。

この弛緩作用によって首周りの筋肉も弛緩するため、気道が狭くなり、呼吸がしにくくなるリスクが生まれます。

睡眠時無呼吸症候群の傾向がある方は、睡眠薬の取り入れ方について医師に相談するとよいでしょう。

食事療法と栄養管理

適正体重を維持するためには、食事療法と栄養管理が大切です。

ここでは、食事に関する注意点を詳しく紹介します。

適正カロリーの計算

睡眠時無呼吸症候群を防ぐためには、体重管理が大切です。

1日のカロリー摂取量が平均値を大きく上回っている場合、肥満になる可能性が高いです。

肥満を予防して健康的な体型を維持したい場合は、適正カロリーを把握しオーバーしないように心がけましょう。

1日の適正摂取カロリーは、以下の通りです。

  • 男性:2,000〜2,400kcal
  • 女性:1,400〜2,000kcal

摂取カロリーが適切であれば、体重がどんどん増加していくリスクを下げられます。

毎日お菓子をたくさん食べている方や、カロリーの高い揚げ物や炭水化物中心の生活を送っている方は、特に食生活の見直しが必要です。

野菜中心の生活にしたり、調理法を茹でたり蒸したりといったヘルシーな方法に変えるなどの工夫をしましょう。

塩分は控えめに

塩分を控えめにすることも、体重コントロールのために必要です。

塩分の高い食事が続くと、高血圧のリスクが上がります。

人間の体内では、水分と塩分のバランスが一定に保たれています。

そのため、塩分を多く摂りすぎてしまうと、塩分濃度を下げてバランスを保とうと、身体が水分を多く取り込んでしまうのです。

その結果心臓に送り込まれる血液量が増え、血管への圧力が増し、血圧が上がりやすくなります。

高血圧は肥満に影響するため、塩分をできるだけ控えるなど、食事メニューにも工夫が必要です。

栄養バランスを考える

毎日の食事の栄養バランスが偏っている方は、野菜、卵、魚、肉などを満遍なく食べられるように心がけましょう。

栄養バランスの取れた食事の基本は、主食・主菜・副菜を揃えることです。

毎食この3つを揃えるだけでも、栄養バランスのとれた食事が取りやすくなります。

お味噌汁などの汁物を追加すると、さらに栄養バランスがよくなるでしょう。

また、下記の栄養バランスを意識して摂取すれば、太りづらい身体作りに繋がります。

  • ビタミン
  • 食物繊維
  • たんぱく質
  • 糖質
  • 脂質
  • 炭水化物

栄養バランスが偏ったときは、食べ過ぎたものや食べなかったものを、次の食事で補うように意識してみてください。

よく噛む

食べ物をよく噛むことには、メリットが多くあります。

よく噛んで食べると満腹中枢が刺激され、食べ過ぎの防止に繋がります。

あまり噛まずに早く食べている方は、満腹中枢が刺激される前に必要以上の量を食べてしまうため、肥満になりやすいのが特徴です。

また、よく噛むと食べ物が細かく砕かれるため、胃の負担が少なくなり消化が楽になることで、肥満予防にも繋がります。

糖質の摂りすぎに注意

糖質を取りすぎると、糖分の影響で肥満になりやすいです。

普段から甘い食べ物や飲み物を摂取している人は、食事を見直しましょう。

以下のような食べ物を日常的に食べている場合、改善するのがおすすめです。

  • 菓子パン
  • 水やお茶以外の甘いペットボトル飲料
  • お菓子

上記のような甘いものばかりを食べていると、糖分を取り過ぎてしまい、太りやすい身体になります。

糖質の高い食べ物は、たまに食べる程度にしましょう。

食べる順番を考える

食事を取る際には、食べる順番を意識するようにしましょう。

血糖値を上げやすい食材である炭水化物は、できるだけ最後に食べるように心がけることが大切です。

サラダや汁物から食べ始めることにより、野菜に含まれる食物繊維が糖質の吸収を抑え、血糖値が急上昇するのを防ぎます。

また、野菜からゆっくり食べることで、少ない糖質の量で満足感を得ることも可能です。

急激に血糖値を上げないように、食べる順番も意識してみましょう。

いびき改善のトレーニング方法

睡眠時無呼吸症候群の方は、いびきをかいているケースが多いです。

いびきは、トレーニングを行うことで改善する可能性があります。

ここでは、いびきを改善するおすすめのトレーニングを3つ紹介します。

舌のトレーニング

いびきを改善するために、舌のトレーニングを行うのがおすすめです。

舌のトレーニングは、以下の5ステップで行えます。

1.舌を前後に動かす 口を開けて舌を前に突き出し、5秒間キープします。

その後舌の先を上の歯の裏につけてそのまま後ろに動かし、5秒間キープです。

これを3セット繰り返します。

2.舌を上下に動かす 口を開けて舌を上顎に押し付け、10秒間キープします。

次に下顎にも押し付け、10秒間キープです。

これを3セット行いましょう。

3.舌を回転させる 口を閉じた状態で奥歯から歯の表面を舐めるようにして、舌を大きく動かします。

左右の往復を1セットと数え、3セット繰り返しましょう。

4.舌と顎のトレーニング 口を大きく開け「あーいーうーえーおー」と大きな声でゆっくり発声します。口と顔の筋肉をできるだけ大きく動かしましょう。

顎や舌が痛い場合は、できる範囲で行ってみてください。

このトレーニングも3セット行います。

5.頬のトレーニング 口を閉じて頬を含ませ、5秒キープします。

その後、口をすぼめて5秒キープです。

これを3セット繰り返したら、トレーニングは終了です。

上記の5ステップを、隙間時間に実践してみてください。

鼻呼吸トレーニング

睡眠時無呼吸症候群を改善するためには、口呼吸より鼻呼吸の方がおすすめです。

普段から口呼吸の方が睡眠中に意識して鼻呼吸に変えることは難しいので、テープを利用したトレーニングがおすすめです。

寝ている間にどうしても口が空いてしまう方は、テープで上下の唇を開かないように止めるとよいでしょう。

家にある絆創膏を使ってもトレーニング可能です。

口にテープを貼る場合は、最初は呼吸しづらさや違和感を感じるため、寝苦しくなる場合は、テープ以外の方法を試しましょう。

また、ドラッグストアでは鼻腔を広げ、鼻呼吸がしやすくなるテープが売られています。

楽に鼻呼吸ができるようになるので、就寝時につかうのもおすすめです。

できれば寝ているとき以外にも、鼻呼吸を意識しましょう。

日常生活で鼻呼吸ができるようになれば、就寝時も自然と鼻呼吸をしやすくなります。

自律神経を整える

睡眠の質を向上させるために、自律神経を整えることも大切です。

睡眠の質に関わる成分は「トリプトファン」と呼ばれます。

トリプトファンが脳に到達すると、幸せホルモンである「セロトニン」が神経を安定させる物質に変化します。

セロトニンは、睡眠を促すホルモンである「メラトニン」の元になる物質です。

トリプトファンがセロトニンに変わり、メラトニンを生成するまでの流れには、約15時間かかります。

朝トリプトファンを取り入れることで、就寝時にはメラトニンが生成され、入眠しやすくなるでしょう。

質の良い睡眠のためには、朝食にトリプトファンが多く含まれている食材を選ぶのがおすすめです。

トリプトファンを多く含む食べ物の例には、以下が挙げられます。

  • 牛乳
  • ヨーグルト
  • 豆腐
  • 納豆
  • ピーナッツ

朝食では乳製品や大豆製品、ナッツ類を積極的に食べるようにしましょう。

まとめ

睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に呼吸が10秒以上止まることが繰り返して起こる病気のことです。

睡眠時無呼吸症候群の傾向がある方は、口呼吸から鼻呼吸に移行したり、生活習慣を改めたりすることで、症状が改善する可能性があります。

また、栄養バランスのよい食事をとることも大切です。

主食・主菜・副菜を毎食バランスよく食べ、様々な栄養素を取り込めるようにしましょう。

国際ハートスリープクリニックつくばでは、睡眠時無呼吸症候群の検査や治療を行っています。

睡眠時無呼吸症候群を改善し、眠りやすくなる治療方法を一人一人の症状に合わせて提案していますので、ぜひお気軽にお越しください。

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