下肢静脈瘤に対するグルー治療
下肢静脈瘤に対するグルー治療(医療用接着剤による治療)は、比較的新しい、体への負担が少ない治療法です。以下にその仕組み・手順・メリット・デメリット・注意点などを詳しく説明します。
✅ グルー治療とは?
医療用接着剤(主にシアノアクリレート)を使って、静脈内で逆流している伏在静脈(大伏在静脈・小伏在静脈)を閉鎖する治療法です。
手術や高周波・レーザー治療のような熱を使わず、静脈を“糊でふさぐ”というイメージです。
🧬 使用する医療用グルー
名称:
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VenaSeal(ベナシール)クロージャーシステム(主に使用される製品)
主成分:
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n-ブチルシアノアクリレート
(瞬間接着剤の仲間だが、医療用として安全性を確保)
⚙ 治療の流れ(手順)
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局所麻酔を一か所のみ実施(カテーテル挿入部位)
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超音波ガイド下で、逆流している伏在静脈にカテーテルを挿入
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グルー(接着剤)を一定間隔で注入しながら、カテーテルを徐々に引き抜く
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注入直後に圧迫して固定 → 静脈内で癒着が起きて血流が止まる
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施術終了(片足30分程度)
🌟 グルー治療のメリット
特徴 | 内容 |
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🔥 非熱的治療 | レーザー・高周波と違い、熱による神経損傷や皮膚やけどのリスクがない |
💉 局所麻酔だけでOK | 全身麻酔や多点の局所麻酔は不要(身体の負担が小さい) |
⏱ 治療時間が短い | 両足同時に施術も可能 |
🦵 弾性ストッキング不要 | 原則として術後の圧迫が不要(※施設による) |
🏃♀️ すぐに日常生活へ | 治療当日から歩行・仕事復帰が可能なことが多い |
⚠ グルー治療のデメリット・注意点
リスク/注意点 | |
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🌿 異物反応 | ごくまれにグルーによるアレルギー反応や炎症反応が出ることがある |
🦠 感染リスク | 極めて稀だが、接着部に感染を起こすことがある |
🧪 長期的データが少ない | 高周波・レーザー治療に比べて、治療実績がまだ少なめ(ただし欧米では普及) |
🚫 グルー治療が向かないケース
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グルーに対する過敏症(アレルギー)がある
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妊娠中
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静脈の太さや形状が特殊で、接着が困難な場合
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深部静脈血栓症(DVT)など他の血管疾患がある場合
🏥 治療後の経過・フォロー
時期 | 内容 |
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当日 | 歩行・帰宅可能、圧迫不要な場合も多い |
翌日以降 | 通常生活に戻れる(重労働は数日休むのが無難) |
1週間~1か月後 | 経過観察のため超音波検査などで静脈閉鎖を確認 |
1年後 | 定期フォローアップが推奨される(再発予防) |
✅ まとめ
項目 | グルー治療の特徴 |
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手術法 | 医療用接着剤で静脈を閉鎖 |
麻酔 | 局所麻酔(1ヶ所) |
痛み・ダウンタイム | 少ない |
保険適用 | なし(自由診療) |
再発率 | 数年単位で良好(長期データは進行中) |