高脂血症の患者様の食事
高脂血症(脂質異常症)の患者さんにおける食事療法は、薬物治療と並んで重要な柱です。目的は「血中脂質(LDLコレステロール、中性脂肪)の改善」と「動脈硬化の進展予防」です。
🔑 食事の基本方針
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エネルギー適正化
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適正体重を維持する(BMI 18.5~24.9目標)
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内臓脂肪の蓄積を防ぐ
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脂質の質を改善
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飽和脂肪酸(動物性脂肪、バター、ラード、脂身の多い肉など)を控える
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トランス脂肪酸(マーガリン、加工食品)を避ける
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不飽和脂肪酸(青魚のEPA/DHA、オリーブ油、ナッツ類)を積極的に摂る
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コレステロール摂取を控える
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卵黄、レバー、魚卵の摂取は控えめに
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ただし、最近は「食事由来コレステロールの影響は個人差大」とされるため、医師の指示に従う
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食物繊維を増やす
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野菜、海藻、きのこ、豆類、未精製穀物
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水溶性食物繊維(オートミール、大麦、りんご、こんにゃくなど)が特にLDLを下げる
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糖質・アルコールに注意
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甘い飲料や菓子の過剰摂取を避ける
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アルコールは中性脂肪を上げやすいため控えめに
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減塩も重要(高血圧を合併しやすいため)
🥗 おすすめの食品
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主食:玄米、大麦、オートミール、全粒パン
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主菜:青魚(サバ、イワシ、サンマ)、鶏むね肉、大豆製品(豆腐、納豆)
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副菜:野菜たっぷり(1日350g以上)、海藻、きのこ
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脂質:オリーブオイル、菜種油、アーモンド、クルミ
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その他:低脂肪乳製品、果物(適量)
🍱 控えるべき食品
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揚げ物(フライドチキン、天ぷら、ポテトフライ)
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インスタント食品、菓子パン、スナック菓子
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バター、ラード、マーガリン、ショートニング
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加工肉(ソーセージ、ベーコン)
📅 1日の食事イメージ
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朝:オートミール+無糖ヨーグルト+果物、ゆで卵白、野菜サラダ
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昼:玄米ご飯、サバの塩焼き、ひじき煮、具沢山味噌汁
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夜:鶏むね肉のグリル、蒸し野菜+オリーブオイル、冷奴、わかめスープ
高脂血症(脂質異常症)の患者さん向けに、 バランスを意識しつつ脂質の質を改善した1週間の献立(朝・昼・夕) をご提案します。
🥗 高脂血症患者さん向け 1週間献立例
月曜日
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朝:オートミール+無糖ヨーグルト+ブルーベリー/ほうれん草とトマトのサラダ
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昼:玄米ご飯/サバの塩焼き/ひじきと大豆の煮物/味噌汁(わかめ・豆腐)
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夕:鶏むね肉の蒸し焼き(レモンソース)/ブロッコリーとにんじんの温野菜/冷奴/大根の味噌汁
火曜日
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朝:全粒粉パン/アボカドとトマトのサンドイッチ/スキムミルク
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昼:麦ご飯/鮭の照り焼き(少量のオリーブ油使用)/小松菜の胡麻和え/なめこの味噌汁
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夕:豆腐と野菜の麻婆風(減塩・低脂肪調理)/チンゲン菜炒め/きのこスープ
水曜日
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朝:雑穀粥/納豆/野菜スティック(きゅうり・にんじん)
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昼:玄米ご飯/イワシの梅煮/ほうれん草のお浸し/きのこと豆腐の味噌汁
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夕:鶏ささみと野菜の蒸し鍋(ポン酢)/冷やしトマト/海藻サラダ
木曜日
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朝:オートミール+豆乳/バナナスライス/アーモンド少々
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昼:麦ご飯/サバ味噌煮(減塩)/もやしとニラのナムル/わかめスープ
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夕:豚ヒレ肉とキャベツの蒸し煮/きんぴらごぼう/冷奴/味噌汁
金曜日
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朝:全粒粉トースト/ゆで卵白/グリーンサラダ/ブラックコーヒー
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昼:玄米ご飯/鮭のホイル焼き(きのこ・野菜入り)/ひじきと枝豆のサラダ/味噌汁
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夕:鶏胸肉とブロッコリーの炒め物(オリーブオイル使用)/トマトスープ/豆腐の冷やし鉢
土曜日
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朝:雑穀ご飯/納豆/具だくさん味噌汁(豆腐・わかめ・野菜)
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昼:麦ご飯/イワシの塩焼き/小松菜ときのこの炒め物/大根おろし
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夕:豆腐と野菜の鍋/鶏ささみサラダ/ひじき煮
日曜日
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朝:オートミール+りんご/ヨーグルト/くるみ少量
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昼:玄米ご飯/鯖の竜田揚げ風(揚げずにオーブン調理)/青菜の胡麻和え/味噌汁
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夕:鶏むね肉の照り焼き(減塩)/野菜スープ/冷やしきゅうりの漬物
🍀 ポイント
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主食は 玄米・雑穀米・オートミール・全粒粉パン を回して血糖安定+食物繊維補給。
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主菜は 青魚(EPA/DHA)と脂身の少ない鶏・豚肉、大豆製品 をバランスよく。
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副菜は 野菜350g以上/日+海藻+きのこ を意識。
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調理法は 蒸す・焼く・煮る を中心に、油はオリーブオイルなど不飽和脂肪酸に。