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心臓病とサウナ

[2025.05.23]

心臓病とサウナの関係について、近年の研究に基づいて詳細に分析します。サウナは心血管系に対して多くの有益な効果をもたらすことが示されていますが、特定の心疾患を持つ方には注意が必要です。


サウナの心血管系への主な効果

1. 血圧と動脈硬化の改善

サウナ入浴は一時的に心拍数を増加させ、血管を拡張させることで血圧を低下させる効果があります。ある研究では、30分間のサウナ入浴後に収縮期血圧が137±16 mmHgから130±14 mmHgに、拡張期血圧が82±10 mmHgから75±9 mmHgに低下したことが報告されています。また、動脈の硬さを示す指標である脈波伝播速度も改善されました。 Mayo Clinic Proceedings+1PubMed+1

2. 心血管疾患リスクの低下

フィンランドの長期的な研究では、週に4〜7回のサウナ入浴を行う人々は、週1回の入浴者と比較して心血管疾患による死亡リスクが大幅に低下することが示されています。具体的には、心血管疾患死亡リスクが約50%低下し、脳卒中のリスクも約60%減少しました。

3. 安定した冠動脈疾患患者への効果

安定した冠動脈疾患(CAD)を持つ中高年者において、フィンランド式サウナ入浴が末梢血管の内皮機能を改善することが確認されています。具体的には、サウナ入浴後に上腕動脈の血流依存性拡張(FMD)が有意に増加しました。 PubMed

4. 心不全患者における赤外線サウナの効果

心不全患者に対する赤外線サウナ(Waon療法)の研究では、心機能の改善や心臓の負担軽減が報告されています。具体的には、左室駆出率の改善や心胸比の減少が観察されました。ただし、これらの効果は短期的なものであり、長期的な効果についてはさらなる研究が必要です。 PubMed


心疾患患者がサウナを利用する際の注意点

サウナは多くの心疾患患者にとって安全で有益ですが、以下のような状態の方は注意が必要です。

  • 不安定狭心症

  • 最近の心筋梗塞(発症から2週間以内)

  • 制御されていない高血圧

  • 重度の心不全

  • 重度の大動脈弁狭窄症

これらの状態に該当する方は、サウナの利用を避けるか、医師と相談の上で慎重に利用する必要があります。 brownhealth.org


安全なサウナ利用のためのガイドライン

  • 温度と湿度の管理: サウナの温度は摂氏100度以下、湿度は20%以下に保つ。

  • 利用時間: 1回のサウナ利用は15〜20分以内に制限する。

  • 冷却方法: サウナ後の急激な冷水浴は避け、徐々に体温を下げる。

  • 水分補給: 脱水を防ぐため、サウナ前後に十分な水分を摂取する。

  • アルコールの摂取: サウナ前後のアルコール摂取は避ける。

これらのガイドラインを守ることで、心疾患患者でも安全にサウナを楽しむことができます。


結論

サウナは、血圧の低下、動脈硬化の改善、心血管疾患リスクの低下など、心血管系に多くの有益な効果をもたらすことが示されています。特に安定した心疾患を持つ患者にとっては、医師の指導のもとでサウナを取り入れることが健康維持に役立つ可能性があります。ただし、特定の心疾患や体調不良の状態ではリスクが高まるため、個々の健康状態に応じた利用が重要です。

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